研究概要 |
本研究ではアルヴェーン波の非線形波動効果の特性を調べ, 中でもその代表である自己集束効果について詳しく検討し, この効果により太陽コロナが高温に加熱される可能性を明かにすることを目的として研究が行われた. プラズマ中の非線形波動伝搬の研究を行い, 誘電テンソルにポンデラモーティブカ等の時間的にゆっくり変化する非線形項を含めることにより, きわめて一般的に非線形方程式, 種々の非線形効果を一括して含んだ非線形シュレーディンガーの式を導き得ることを示し, 論文にまとめた. この方程式を基礎に, アルヴェーン波の自己集束, 自己捕捉効果を詳しく解析し, 自己集束, 自己捕捉に必要なアルヴェーン波のパワーのしきい値が太陽コロナ中では十分小さく, 従って, 太陽コロナ中ではアルヴェーン波による自己集束・自己捕捉が全領域で起きている可能性があることを明かにした. この効果により太陽コロナ中では実効的な密度の非一様性・フィラメント現象が起きるわけであるが, このフィラメント現象は力学アルヴェーン波(KAW)が存在する環境を実効的につくる. このKAWは, 興味あることに, 減衰が比較的大きく, このため波動のエネルギーがプラズマに移り, 太陽コロナが強い加熱を受けることが明かになった. 太陽コロナ及び太陽風プラズマのE視的構造を明かにするため, 軸対称MHDシミュレーション解析も平行して行われた. 中緯度帯を境いとして太陽コロナが〓場の開いた領域と閉じた領域に明瞭に区分されること, その境界で圧力駆動型のトロイダル電流が生じること等を明かにした.
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