研究概要 |
研究計画に従い, 加熱と輸送の理論体系の系統化やそのとりまとめに重点をおき, 手法の確立を計った. また実験観測との比較研究を始めた. この比較研究によって, 理論モデルの今後の改善への端緒をつけた. 波動加熱の様に速い加熱過程を含むプラズマの輸送や散逸に伴う構造を解析するためには1)系統的なタイム・スケールの分離を行うことや2)非局所効果の導入などが必要であるという知見を得て来た. この知見をもとに1)波動加熱過程や2)熱化・緩和過程及び3)空間における輸送過程を分離するタイム・スケールを導入した. また各段階に応じて方程式系を定式化した. 1)波動伝播・吸収コードと 2)フォッカー・プランクコードと3)輸送コードを時間経緯に沿った形で直列につなぎ, セルフ・コンシステントな理論解析ができる様になった. ここに至り, 時間と空間の両側面から一貫した一つの解析体系を作る事に成功している. この様な意味での解析体系は世界に比がないものとなっている. 加熱過程に伴う輸送過程の解析により様々な新しい知見を得ている. 例えば閉じ込め比例則(全体としての)を導く輸送係数のモデルに対して, 我々の理論では次の事が言える. 1)実験で観測されている様な入力パワーとともに閉じ込め時間が劣化する様な現象(L・モード)は従来から言われている様なイントール則では説明できない. 2)Lモードを説明するには, ドリフト波揺動による異常輸送係数の導入が必要である. 3)前述2)のモデルを使用するとプラズマの温度分布(空間構造)は入力に余り依存せずいわゆる弱いプロファイル・コンシステンシーという現象を示すが, この現象は局所近似をした輸送係数を使用しても予言できる. 4)不完全熱化現象としてとらえられる高エネルギー粒子の存在とその損失モデルを仮定すると, Lモードではないオフ・セット型線型則を予言できる. などがある. MHDの挙動に関する解析も行った.
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