研究概要 |
1.衝撃波プラズマ流を利用した電磁衝撃蒸着法(SWD法)によって窒素雰囲気中で石英, アルミナの各基板に銅粉末の蒸着実験をした. その結果, いずれの基板にも微粒子状(半径1〜4μm)の銅が付着した. 引っかき式付着力測定装置より付着力を測定した結果, 通常の真空蒸着法で作成した銅薄膜の付着力よりも60倍以上大きいことが判明した. 2.SWD法により, 高融点物質のNbを窒素雰囲気中で石英基板上に蒸着した. プラズマ流の分光写真から多数のNbイオン線が観察されたので, Nbはプラズマ状態で飛んでいることが確認された. ESCA, XMAの分析によると, 薄膜はNb_<1-x>N_xで, 膜厚は50〜60nmと推定された. かつ極低温付近で膜は超伝導特性を示した. (超伝導転位温度Tc=11Kであった. ) 3.SWD法により, 高融点物質のMoを窒素雰囲気中で石英基板上に蒸着した. TEMの観察より生成薄膜は, 微結晶の集合体であることがわかり, 結晶の中には格子定数4.22〓のFCC構造をもつものが存在していた. 4.基板をプラズマ流に垂直に設置して多数回の衝撃波を加えた場合, 一度付着した膜の一部が再蒸発する. そこで, 基板を流れに対して斜めに設置し, 再蒸発を防ぎ, 厚膜化をはかった. 流れに対して60度傾けての8回のショットで200nmの膜厚となり, ほぼショットの回数に比例して厚くなった. 5.プラズマ流に対して, 基板を傾けて設置して生成した膜の方が, 垂直の場合よりも均質の膜ができることが, 超伝導遷移幅の大きさより推定された. 6.プラズマ流の流速, 流れのパターンとスペクトルを計測し, プラズマ・パラメーターを推定した. 7.SWD法による薄膜生成は, 薄膜の組成比, 均一性等の制御が末確立であるが, 衝撃波プラズマ流を利用するため, 高圧効果をもたらし, 非平衡物質の生成に適することも考えられる.
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