研究概要 |
本研究の目的は, オンライン・ネットワーク総合目録と他の同種データベース・システムとの連絡調整機能ならびに運用方式の研究調査である. 総合目録事業は, 多数の組織機関の参加する複雑な事業で, 時代環境, 時の財政的・技術的要因に大きく依存している. オンライン・ネットワークを利用した総合目録データベースと, 従来の手作業による総合目録は, 内在要因が同質でありながら, まったく新しい環境と構成要素によって運営されていると規定して研究を進めた. 昭和61年度は, 調査研究チームを編成し, 総合目録の諸側面についての検討を進めた. オンライン・ネットワークによる総合目録システムの問題点は, 1)遡及変換, 2)典拠コントロール, 3)目録データの均一性の維持, 4)既存の大規模目録データベースとの関係付け, 5)入力体制, 6)教育訓練などの多岐にわたる. 総合目録の発端, 定義, 事業の展開などについて確認した. ついで多くの問題のうちから, 典拠コントロールに着目して研究を進めた. 国立国会図書館, 日本科学技術情報センターならびに学術情報センターなどにおける典拠コントロールないしはデータベースのインテグリティ維持のための作業の実態, 方法論などについて事例調査をした. 事例の一つとして英国図書館が創設した「18世紀」(1701-1800)に印刷された資料の世界的総合目録の開発報告書を翻訳刊行した(本研究報告書別冊). 62年度は, 典拠コントロールについてさらに検討を進めた. その一環として現に行われている典拠データの形成・交換の実態を米国議会図書館のMARC提供サービスをモデルとして, 若干の定量的側面の検討を進めた. 「典拠作業」の概念の明確化に努めた.
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