研究概要 |
本研究により得られた成果は, 次の三項目にまとめられる. 1.画像情報の符号化法・圧縮法: 連想形記憶に記憶する画像情報は, 擬似中間調符号化法(2値符号化)を用いることにより大幅な情報圧縮が可能である. ここでは「確率的濃度パターン法」と呼ぶ新しい符号化法を提案し, 画像情報を記憶する際に必要となる記憶領域の大きさを従来の約1/4に縮小した. 2.連想形記憶を用いた画像検索システムの構成法: ここでは連想形記憶を用いた画像検索システムを構成する際に生じる二つの問題について検討を行った. 一つは, 記憶すべき画像情報が雑音等により劣化することがあるという問題であり, もう一つは, 記憶している画像情報を検索するために与えるキー入力が劣化することがあるという問題である. ここでは, 空間縮小法と呼ばれる方法を用いて, 不完全な記憶情報しか与えられない場合でも完全な記憶情報が与えられたのとほぼ同様の検索能力を持つ画像検索システム(連想形記憶)を構成するための方法および, 不完全なキー入力しか与えられない場合でも安定で, 高い検索能力を持つ画像検索システム(連想形記憶)を構成するための方法を得た. 3.連想形記憶を用いた画像検索シテスム内での画像情報の処理: 連想形記憶には, 情報の記憶・検索機能ばかりではなく, 情報の処理機能もある. ここでは, 画像情報に対する簡単な処理を画像検索システム内で直接行うための方法を検討した. 検討した方法は二段階連想方式と呼ぶ方法であり, この方法を用いれば記憶画像に含まれる雑音を画像検索システム内で容易に除去できることが明かとなった. 今後, 現在のシステムをより現実的な規模へ拡張する必要がある. これに伴う問題の解決が残された課題である.
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