研究概要 |
△芯地は表地との重ね布や接着布として使われるため, 事実上重ね着に準じた効果をもち, 被覆の快適性に果たす役割が大きいと考えられる. そこで芯地を含めた各種布の透湿性や消費性能を検討した. 1.透湿抵抗Rをカップを用いて蒸発法で測定した. 布を順次重ねてRを測定する方法で, Rを布全体の構造性質に基づく内部抵抗値R_1と表面の形態に主として関係する外部抵抗値R_2に分離した. (1)単層の織物では粗い表面と疎な構造をもつものほど, R_1, R_2が大きい結果が得られた. (2)表地と接着芯地から重ね布を接着すると, R_1, R_2が重ね布のそれよりも必ず減少した. この重ね布では表地と芯地の接触面に空気層が保持され, この空気層が重ね布, 接着布のR_1, R_2に重要な役割を果たしていると推察された. (3)表地と非接着芯地からなる重ね布について, 表地と芯地の間に0.5cmの厚さの空気層を挿入し, ゆとりに伴った間隙の影響を検討した. 挿入によりRは増加するが, その量は0.5cmより必ず小さかった. R_1も必ず増加したが, この量は密な構造の表地を用いるほど大きかった. (4)表地を想定した織物20種類について, 乱気流0.9m/secと0.3m/sec下のRを比較した. 風速が大きいと例外なくRは減少した. また風速が大きいと布の被覆度の差によるRの相違は小さくなり, 通気度とともにRの減少する傾向が強まった. 2.市販の27種類の芯地について, 10回繰返しの家庭洗たくによる消費性能の変化を, 単に水に浸せきしたものと比較した. 平均地の差の検定の結果, 変化量は水, 洗たくのいずれの場合も有意なものであり, 単縮小率, 強伸度, 曲げかたさ当に有意差がみられた. 接着芯地が非接着芯地よりも変化量が小さい傾向があった. 3.表面の凹凸の大きい織物ほど, 有風下では保温率Hの低下が著しい傾向があった. Hの減少の割合は2m/secまでの風速で大きい傾向があった.
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