研究概要 |
1.冷凍耐性酵母Saccharomyces rosei 1F01129の細胞融合による冷凍耐性酵母の造成 S roseiを親株として紫外線照射処理によりアミノ酸要求性変異株M-1(アルギニン要求性)およびM-3(リジン要求性)を取得し, 常法によって細胞融合を行った結果, 3.3×10^<-6>の融合率で融合株がえられた. その中から, 増殖率および発酵能の比較的強い3株, F-1-1, F-1-42, F-1-47を選抜し, 冷凍生地の発酵性を検討した結果, いずれも冷凍障害をうけにくい冷凍耐性株であり, とくに, F-1-47株は, 前発酵2時間処理の生地発酵力が親株のそれより約40%大きい融合株であることが明らかとなった. 2.S.roseiとS.corevisioe2001の細胞融合による冷凍耐性酵母の造成 前実験でえられた冷凍耐性アミノ酸要求性株S.roseiM-1と, パン酵母S.cerevisioeから耐性アミノ酸要求性株S.roseiM-一と, パン酵母S.cerevisioeから誘導したシクロヘキシミド感受性株を融合させた結果, 3.3×10^<-5>の融合率で融合株をえた. これら融合株から40株を選び, その中から発酵性及び増殖率のすぐれた8株について冷凍貯蔵性を調べたところ, いずれも無発酵冷凍生地(前発酵時間0)においては, 親株S.cerevisioeと同程度の醗酵力を示したが, 前発酵時間が長くなるにつれ冷凍貯蔵後の発酵力は低下した. この結果から, 融合株はパン酵母の形質が優性に発現し, 冷凍耐性酵母S.roseiの性質はほとんど導入されていないことが判明した.
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