研究概要 |
各種環境要素による刺激対の感性間相互作用について明らかにするため, 光環境要素・温熱環境要素・音環境要素などから刺激対を作成した. 温熱環境としては室温15°C, 20°C, 25°C, 35°Cの4種類である. 光環境としては白熱燈による照度5lx, 100lx, 400lx, 800lxの4段階と赤色照明100lxおよび緑色照明100lxによる計6種類である. また, 音環境としてはホワイト・ノイズ55dB, 65dB, 75dB, 85dBの計4種類とし, 総計96種類の刺激対について実験した. ME法による実験から次のことが得られた. 照明種類や温度条件によって騒音レベルに対するME法の評定値が増加する促進効果や, 減少する抑制効果が認められた. 例えば緑色の照明100lxでは評定値を減少させる傾向にあり, 発熱燈100lxでは他の照明より比較的大きい評定値をとる傾向にある. また本実験の最低温度である室温15°Cの場合は他の温度の場合より評定値を減少させる傾向にある. このように光や熱の感覚刺激が騒音レベルの評定値に影響を及ぼしている. SD法などの実験から次のことが得られた. SDプロフィールより, 音圧レベルが比較的小さい場合には照明による影響が大きく表れるが, 音圧レベルが大きくなると影響は小さくなる. 赤色の照明100lxや白熱燈5lxでは, 他の照明照度に比べ「好ましくない」評価となることが多く, 30°Cにおける赤色の照明の場合はその傾向が顕著である. また照度を増せば快適さは増加する傾向がみられ, 上限となる適性照度が存在すると考えられる. SD法による平均得点を利用し, 各刺激の印象や感情を因子分析したところ3つの因子が抽出された. それらは第1因子として音環境も含んだ室内の快適さの「一般評価因子」, 第2因子は光環境による快適さの「明るさに関する因子」, 第3因子は温熱環境による快適さの「暖かさに関する因子」などである.
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