研究概要 |
澱粉あるいは澱粉食品を高度に利用するための基礎研究として、種々の植物の貯蔵澱粉の特性を明らかにする目的で、澱粉をイソアミラーゼで枝切り後、α-1,4直鎖をゲルろ過で分別する方法によりアミロース含量とアミロペクチンの鎖長分布を調べ、また形態観察,X線回折,ヨウ素吸収曲線,澱粉粒の酵素による分解され易さ,糊化特性(DSCによる)の測定を行った。 1.埼玉県産酒造用「日本晴」,「むさしこがね」,「ニホンマサリ」の75%白米より澱粉を調製し特性を調べた。気象データに基く気温が高い条件下で生育したものはアミロース含量の低下、糊化温度の上昇を示した。これらの結果は人工気象条件下「台中65号」を用いてえた結果とよく一致する。これらは1984 1985年度産米についてであり目下1986年産米についても検討中である。(*) 2.「全南風」とこれから誘発させた高アミロース変異株、「ササニシキ」とこれから誘発させた低アミロース変異株(du)ならびにインド型モチイネJaguryを札幌から沖縄にいたる7ケ所で栽培、胚乳澱粉を調製し特性を調べた。アミロース含量は気象データに基く開花後20日間の平均気温が高いほど低い。しかし同一栽培地ではアミロース変異株は正常株より高く、du変異株は正常株より低い。Jaguryのアミロペクチンの長いB鎖は生育温度が高いほど多い。糊化温度は生育温度が高いほど上昇することが解った。(1,2) 3.新潟県産ヤマノイモあるいは石川早生サトイモを植え、ヤマノイモは4〜6月、サトイモは4〜11月ほゞ2週間おきに採取し、澱粉を調製、特性をしらべた。ヤマノイモは生育にともないアミロース含量が増加しやがて一定となったが、サトイモではほとんど変化しなかった。糊化温度は生育とともに下る傾向にあり、X線図型は地温の影響をうけ温度の低下によってC型→Ca(あるいはCb)と変化する傾向を示した。(3〜5) *結果は合せて報告する予定である。
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