研究課題/領域番号 |
61580084
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
科学技術史
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
石渡 隆司 岩手医科大学, 教養部, 教授 (10048267)
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研究分担者 |
小林 晶子 岩手医科大学, 教養部, 非常勤講師
渡辺 義嗣 岩手医科大学, 教養部, 助手 (90191808)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1987年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1987年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1986年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | デュナミス / プネウマ / 呼気 / 精気 / ヒポクラテス / プラトン / アリストテレス / ストア派 |
研究概要 |
ガレノスの医学理論を体系的観点から考察するために、今年度はガレノスの主要著作、『自然の諸機能について』と『人体の部位の役割について』を中心に身体の構造や機能に関するガレノスの基本用語の抽出整理を行ない、それらの用語や概念とヒポクラテスもしくはコス学派の用語や概念との比較を試みた。とくに著作と考えられている『人体の部位について』と比較し、ガレノスがヒポクラテスから継承したものとその後の医学思想から学んだもの、さらにガレノス自身の独創的見解とを区別することにつとめた。その過程でとくに顕著に見られたことは、ガレノスが身体の基本構造に関してはヒポクラテスの見解を基礎にしているのに対して、身体各部の機能に関してはヒポクラテスの著作もしくは時代の理解よりかなり進んだ生理学的理論に変わっているという点である。その主なものは、呼気を通して人体内部に配分されるΠVε【υ!〜】μαの働き、さらに器官を生命体の機能として働かせている「精気」(ΠVε【〜!υ】μα)についての見解であり、この両概念を通じて、ガレノスの医学理論は、ヒポクラテスの経験的医学説を超えて、アリストテレス,プラトン,ストア派などの身体理論をふまえた一種の機能(δνvαμιs)論的医学理論を作り上げているといえる。我々はこうしたガレノスの医学体系を、たんなる身体(σ【〜!ω】μα)の理論としてではなく、霊魂(ΨνXη)論と一体化しうる、古代における最も体系的な心身論の考察として捉えており、その頂点をガレノスの『ヒポクラテスとプラトンの学理について』のうちに読み取ることができると考えている。したがってガレノスのいわゆる医学理論の重要性は、実証的な身体理論に基礎づけられた霊魂論もしくは、身体論的形而上学として、現代最も必要とされている心身理論への新たな視点を与えうるものと考えている。
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