研究概要 |
積極的な休息法は理学的な療法が中心で、入浴・シャワーの温熱法、プール、アイスング・コールドパック・バーンキッドなどの冷却法、筋のストレッチング運動、エアロビクス体操、バリステック運動などの身体運動療法がある。これらのうち冷却法とストレッチング運動を取り上げ、運動性筋疲労からの早期回復の効果を調べた。筋疲労を人爲的に惹起する方法として、末梢性の局部疲労と全身性の運動疲労をおこなった。疲労回復の評画として、電気刺激法による誘発筋電図と誘発トルク、血液性状の変動、筋痛や筋力の変化、呼吸・循環系の機能(心拍数,直腸温,血圧,呼吸ガスー【10_2】、(【CO_2】換気量など)などを測定した。 (1)局部疲労からの回復ーストレッチング運動を下腿三頭筋群に加えること(30秒のアイソメトリック収縮を3セット)によって.筋痛は解消し、EMD(Electro Mechanical Delay)や在屈トルクは疲労前の値に早期に回復した。高周波数疲労(50Hzと80Hz)と低周波数疲労では異なった様相を示し、前者のクーリング・ダウンが顕著な回復を示した。 (2)全身疲労からの回復ーグランドにおいて30分間のサッカー・シミュレーショョンを実施し、ほぼ80%の全身疲労を発生させた。その後に冷却法を実施した。別の実験としてトレッドミルにおいて30分間走(200m/min)を実施し、酸素吸入法を付加したストレッチング運動を与え、疲労回復の様相をみた。 これらの実験結果から、ストレッチング運動はTranquiliger Effectを示し、炎症した筋に鎮静効果をもった。冷却法、特に持続型のアイスングは炎症と疼痛をもった筋に効果を示し、クーリング・ダウンが顕著であった。酸素吸入法も同様に血液循環と代謝機能を促進させ、積極的な休息法として役立つことがわかった。
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