研究概要 |
動きのリズムは, 運動学習における重要な要因の一つである. 本研究は, この動きのリズムに着目し, 最終的には指導との関連性を調べることを目的として実験が計画された. 初年度は動きのリズム測定の客観化を主たる目的とし, さらに, Preferredリズムについての個人差, 恒常性, 独自性についても調べた. 本年度は, 学習との関連で動きのリズムを調べることにより, 指導への足がかりを得ようとした. まず初年度の成果として, リズム測定の客観化に関しては前年度報告の通りであった. またPreferredリズムに関しては, バスケットボールドリブル, タッピング, なわとび, その場足ぶみ, 両足連続とび, 電鍵叩きの課題を用いて行った実験の結果, Preferredリズムの恒常性, 独自性や個人差の存在を見い出した. これらの結果は, Rimoldiの研究結果と一致していた. 本年度の目的達成のための方法として, イメージ表出における運動リズムの質を多面的に分析する方法を用いた. 課題として, スキップ, ハードル走, 走り幅とび, け上がりを用い, イメージ中の動きのリズムを両手のタッピングで表出させ, 描かれた図形よりリズムの時間的側面と強弱側面を問題とした. そのリズムの恒常性や一般的特性を調べるとともに, 技能水準およびイメージの明瞭性との関連についても明らかにしようとした. 結果として, リズムの恒常性については課題の特性により異なり, スキップとハードル走は高く, 走り幅とびでは低かった. 運動表出時間については, 各課題において個人差が明らかとなった. また技能水準との関係をみると, 全般に技能水準の高い者ほどリズムの質も高い傾向がうかがえた. さらにイメージの明瞭性との関連では, 顕著な傾向は見い出せなかったが, ある程度の関連性が推測される結果が得られた.
|