研究概要 |
自己表出の概念を、社会化能力の概念に置換し、社会化能力が形成される過程を、二つの方法によって分析した。 一つの方法では、社会化能力は、社会化プロセスを経て形成されるという前提に立ち、E・B・McNeilの社会化過程の枠組に対応させて、社会調査を実施した。(対象 小・中学生全国サッカー大会出場者、計878名)。 社会化能力を外的基準とし、他を説明変数として、林の数量化【II】類にもとずいて分析をし、次の結果を得た。 1.社会化能力の獲得は、小・中学生ともに、下位要素である交渉性,個性,自立性の態度に強く規制される。 2.その他の、規定力の強い要因として、達成欲求,入団のきっかけ,練習態度,意志決定への参加,コーチの勝敗観,大人の評価,親のスポーツへの態度,家の人との対話,家の人の応援,生活へのサッカーの位置づけ,将来の目標等々が特定化できた。 3.サッカーにおける創造性と社会化能力に、強い相関がみられたことから、社会化過程において主体の自己表出を保証することが、創造的プレーアにつながるという仮説が得られた。 第二の方法は、ゲームを収録したV・T・Rをもとに、プレイヤーに面接を実施し、その結果を解釈学的に分析したものであり、次の結果を得た。 4.スポーツに対する大人の解釈と子どもの解釈が相違していることから、今日の組織化されたスポーツは、子どもの〈リアリティ〉とは言い難い。 5.子どもの〈スポーツ・リアリティ〉は、規範や役割を経路として、大人文化に支配される傾向がある。
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