研究概要 |
〔研究目的〕 本研究は、車椅子生活者の体力向上のためのトレーニングとリハビリテーション指導の基礎資料を得るために4種類の車椅子運動中の走行速度と酸素消費量との関係を検討した。 〔研究方法〕 研究の被検者は、健常人男子7名と女子5名および車椅子生活者(脊髄損傷者)の男子6名である。運動としての車椅子の速度は、6段階(46m/分〜127m/分)に設定した。車椅子の走行時間は、5分間である。研究に用いた車椅子は、鉄製標準型,チタン製標準型,バスケット用スポーツ型,レース用スポーツ型の4種類である。以上の条件での車椅子走行中の走行速度,作動回数,心拍数,酸素消費量を測定した。 〔研究の結果と考察〕車椅子の走行速度は、車椅子の作動回数の増加とともに直線的に増加する傾向がみられた。レース型の車椅子を除いて、最大作動回数は50回/分位が限度のようである。車椅子走行中の心拍数と酸素消費量は、全ての車椅子の種類において、走行速度の増加とともに増加する傾向がみられ、それは、レース用型,バスケット用型,チタン製,鉄製の順に高い増加傾向を示した。これは、車椅子運動中のエネルギー消費量が車椅子の種類によって異なることを示唆するものである。それの理由としては、それぞれの車椅子での作業姿勢が酸素消費量に影響を与えていると思われる。さらに、この傾向は、各被検者グループ間にもみられ、技術力、体力等の面からも影響があることが明らかになった。一方、酸素消費量からみた各々の車椅子経済至適速度と運動強度は、鉄製標準型がほぼ60〜70m/分、3.8Metsで、チタン製標準型とバスケット用スポーツ型がほぼ70〜80m/分、3.9Metsで、レース用スポーツ型がほぼ90〜100m/分、3.1Metsであった。
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