研究分担者 |
中村 京子 東京都臨床医学総合研究所, 代謝研究室, 研究員 (30124481)
鈴木 實 東京都臨床医学総合研究所, 代謝研究室, 研究員 (40124466)
関根 美知子 東京都臨床医学総合研究所, 代謝研究室, 研究員 (70124469)
橋本 康弘 東京都臨床医学総合研究所, 代謝研究室, 研究員 (80164797)
中村 由利 (伊藤 由利) 東京都臨床医学総合研究所, 代謝研究室, 研究員 (10176373)
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研究概要 |
近交系マウス腎臓の糖脂質に系統差のあることを見い出し, 多形を示す糖脂質(GL-X, GL-Y)を精製し, 構造を決定した. GL-XはGalβ1-3Gb_4Cer, GL-YはGalβ_<1-4>(Fucα_<1-3>)GlcNAcβ_<1-6>(Galβ_<1-3>)Gb_4Cerであることが解った. GL-Yはその非還之末端にGalβ_<1-4>(Fucα_<1-3>)GlcNAβl-構造を有し, 抗SSEA-1抗体と反応したことからSSEA-1決定基を持つ糖脂質であることが明らかになった. DBA/_2マウスはGL-Yの発現を欠損し, GL-XをGL-Yと同程度の量発現すること, 又GL-YはGL-Xを前駆体とする構造であることから, DBAl_2マウスはGL-Xに次の糖を付加しGlcNAc-(Gal)Gb_4Cerを発現とする能力に欠損があるものと考えられた. 交配実験によってGL-Yと発現は優性の形質で, 戻し交配マウスが分離したことから, DBA/_2マウスは常染色体性の単一遺伝子に変異があり, 上記の能力が発現出来ないことが考えられた. この遺伝子の染色体上での位置を決定するためのBXDリコンビナント・インブレッドを使った解析を行い, 第19染色体上のEa-4, 遺伝子座を連鎖する可能性が指摘され, 交配実験で第19染色体上にあることが証明された. この遺伝子はGL-XにGlcNAcを転移する活性を支配することが考えられることから, GlcNAc転移酵素の活性測定系について検討し, ほぼ系が出来上がった. 一方, 新たな糖脂質発現の多形現象がガングリオシド画に見い出され, Z1, Z2の二つのガングリオシドの構造が決定された. Z1はNeuGcα2-3GL-X, Z2はNeuGcα2-8NeaGcα2-3GL-Xであった. 交配実験により, Z1, Z2発現の形質は劣性であり, 戻し交配で, 常染色体性の単一因子を考えれば良いことが判明した. Z1, Z2ともにGL-Xを前駆体とすることから上記の第19染色体上の遺伝子の変異によってDBA/_2マウスはGL-X→GlcNAc-GL-Xを合成出来ず, GL-Xが蓄積し, その結果GL-X→Z1→Z2の経路が働き, Z_1, Z_2が検出出来るレベルになると考えることが出来る.
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