研究概要 |
14MeV中性子による核融合炉候補材の放射化や損傷の評価の際基礎データとなる中性子放射化断面積の精密測定を放射化法を用いて行なった。大阪大学強力14MeV中性子源(オクタビアン)で照射し、Ge検出器,波高分析装置を用いて放射化量を測定し断面積を決定した。 1.中性子源から15cmの位置で0゜、45゜、70゜、95゜、120゜、155゜の6つの角度(中性子エネルギーとして14.8〜13.5MeV)で照射できる気送管式中性子照射台を作製した。行き2.0±0.2秒、戻り2.5±0.2秒。加速器を止めることなく試料の照射、取出しができるようになりビームの安定性、実験の効率が大幅に改善できた。 2.照射位置での中性子エネルギーはNbと2r箔の放射化量から決めた。【^(93)No】(n、2n)反応は半減期が30分以上のものに中性子束モニターとして広く利用されているので【^(27)Al】(n、α)【^(24)Na】を基準として【^(93)Nb】(n、2n)【^(92m)Nb】の断面積を決めた。14MeV付近でσ=468±14mbを得た。 3.半減期30分以上の以下の反応について断面積を測定した。【^(58)Ni】(n、2n)、【^(58)Ni】(n,p)、【^(58)Ni】(n,np)、【^(58)Ni】(n,t)、【^(92)Mo】(n,p)、【^(92)Mo】(n,α)、【^(92)Mo】(n,nα)、【^(98)Mo】(n,α)、【^(98)Mo】(n,p)、【^(100)Mo】(n,α)、【^(100)Mo】(n,2n) 4.半減期1分から30分程度の放射化に対する中性子束モニターとして【^(27)Al】(n,p)【^(27)Mg】(【T_(1/2)】=9.5m)反応の断面積を測定した。半減期もパイルアップ等を補正し精密に測定し【T_(1/2)】=9.465±0.008mを得た。この【^(27)Al】(n,p)をモニターとして【^(63)Cu】(n,2n)【^(62)Cu】(【T_(1/2)】=9.7m)の断面積を測定した。 データ解析は一部を除きほぼおわり、結果をまとめている。結果の一部は学会で発表した(1986年12月原子力中部支部)。1987年中には学会誌に投稿できるよう現在努力中である。
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