研究概要 |
本研究は, 人が直接他人と会って交際し, つきあうコミュニケーション行動を分析することにより, 農村部・都市部における生活空間の構造を明らかにしようとするものである. また, この課題によって, 変容しつつある農村・都市域を個人, 家, 社会的集団の側面から把握しようと試みるものである. 1.コミュニケーション行動は, 生活行動の中でも個々人に応じて, 多岐にわたる. 農村部におけるそれらを類型化すると二分される. すなわち, A類型は, 老人層, 農業就業者, 自営業者などの生産年令層そして専業主婦層に属する者により, 主として週日に自集落内に滞留する住民によるものである. 他方, B類型の属性には, 公務員, 会社員などの農外就業者と大工やトラック運転手などの自営業者が含まれる. A型コミュニケーション空間とB型のそれとが大きく異なるのは, 日周期のものである. A型コミュニケーション空間は, 週日には主として集落内にのみ形成される. 一方, B型コミュニケーション空間は, 集落外にその中心が存在する. すなわち, 就業地におけるコミュニケーション空間が重要である. 2.都市住民のコミュニケーション空間は, 多種多様である. コミュニケーション行動は, 就業形態に影響され, 都市内では人びとの就業構造が複雑なためである. しかし, コミュニケーション行動を大別すると, 自営業者と賃金労働者の2類型が存在する. 前者は, 地縁的なコミュニケーション空間を保持しつつ, 一方, 後者は自地区内と就業地との二者のコミュニケーション空間を有する. いずれにしても, 都市住民のコミュニケーション空間は, 農村在住民のそれと比較して, 複雑ではあるが, 一般に, 時間的には規則的であり, 交通機関の発達により, コミュニケーション行動は広域化しつつあり, その頻度も高いことに特色がある.
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