研究概要 |
細胞周期, 特にGo→S期の過程におけるc-fos遺伝子の機能を解析する為に, 61, 62年度において, c-fos遺伝子の発現を特異的に阻害する方法として, アンチセンスRNAや抗fos抗体を細胞に導入する方法を試みた. その研究目的を達成する為に, まず以下のような材料糸を開発し, 確立した. 1.v-fosを発現してトランスフォームしているラット樹立細胞を単離した. 2.sp6のRNAポリメラーゼを使用したin vitroRNA合成系で, 10種のアンチセンスRNAを調製した. 3.v-fos及びマウスc-fosを発現し, 細胞をトランスフォームさせるニワトリレトロウイルスベクターを作製した. 4.v-fosアンチセンスRNAを合成するニワトリレトロウイルスベクターを作製した. 5.ニワトリc-fos遺伝子を分子クローニングし, 塩基配列分析により構造決定した. 6.ニワトリ, マウス及びヒトのc-fos遺伝子産物, 及びv-fos遺伝子産物を免疫沈降できる抗fos抗体を作製した. 次に, 1や3の系を使ったfos-トランスフォーム細胞中に, 2で作製したアンチセンスRNAや4のウイルスを感染させ, fosの発現量に変化があったか否かを6で得た抗体で検出した所, アンチセンスRNAの存在下でも, 残存するfosの発現が見られた. 5で得られた知見をもとに, 今まで同定されていなかったニワトリc-fos遺伝子産物の生化学的記述を終え, 現在はCEFを材料系として抗fos抗体のマイクロインジェクションが細胞周期に, どのような影響を与え得るか解析をすすめている.
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