研究課題/領域番号 |
61580220
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子遺伝学・分子生理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神谷 律 名大, 理学部, 助手 (10124314)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | クラミドモナス / 鞭毛 / 繊毛 / ダイニン / FFTアナライザー / 生体運動 |
研究概要 |
鞭毛・繊毛運動において本質的に重要な役割を果しているダイニン腕の機能を明らかにする目的で、ダイニン内・外腕それぞれの全部または一部を欠失している突然変異株を単離し、その鞭毛の機能を解析する試みを行なった。今まで外腕欠失株は得られていたが、内腕に関しては部分的に欠失したものが一種得られているだけであったので、それぞれの腕の機能の違いはよくわかっていなかった。そこで今回は内腕異常株の単離を第一の目的とし、そのためにまずFFTアナライザーを用いて多数の株の鞭毛打頻度を簡便に測定する方法を開発した。さらに、これにより鞭毛打頻度の低下が確認された株のなかに、内腕部分欠損株の新種を2種見出した。これらの株の解析はまだ充分ではないが、電子顕微鏡による観察で、内腕が縮小して見えるという結果が得られている。興味深いことに、これらの内腕部分欠損株はそれぞれ一定の運動性を示すが、異なった部分に欠損を持つもの2種の2重変異株は運動性を失っていた。この結果は、ダイニン内腕が大きく欠損すると鞭毛が全く機能できなくなるという可能性を示唆するものである。しかし、この点を確定するには今後さらに多くの内腕変異株を用いて検討する必要があろう。 ダイニンの機能を試験管内で発現させるという方向の研究の第一歩として、外腕欠失変異株の鞭毛軸糸に野生株鞭毛由来の外腕を結合させる試みを行った。大量に培養した野生株細胞をペリコンラボカセットで回収し、鞭毛軸糸と高塩濃度下で抽出してダイニン粗標品を得、外腕欠失軸糸に加えたところ、外腕が正しい位置に結合し、ATP存在下での運動性が野生株のものと同程度にまで回復した。この結果はダイニンの機能を試験管内で検定する道を拓いたものと考えられ、今後精製した標品やその一部を用いることにより、ダイニン内外腕国有の機能とそれぞれの機能部位を明らかにすることが可能になると期待される。
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