研究概要 |
カエルの桿体視細胞外節(Rad Outer Segments:ROS)におけるナトリウムイオンチャンネル蛋白質を検索し, 以下の結果を得た. (1)〔^3H〕cGMP存在下のUV_<254>照射によりROS蛋白質を^3H標識し, 分子量250K, 100K, 92K, の3つの内在性膜蛋白質が, 100K, 92K, の2つの表在性膜蛋白質が, 53Kの可溶性蛋白質が標識された. (2)100Kおよび92K蛋白質はcGMP・PDEの2つのサブユニットであった. 53Kの蛋白質はリン酸化酵素である事が示唆された. (3)250K蛋白質へのcGMPの結合はcGMPに特異的であった. (4)250K蛋白質への光に依存したリン酸化が確認された. (5)250K蛋白質をCHAPSで可溶化し, ショ糖密度勾配遠心法で純度約50%まで精製した. (6)部分精製した250K蛋白質からcGMPに依存したチャンネル活性を検出した. (7)変性はしていても純度の高い250K蛋白質をSDS PAGEより抽出した. 抽出した250K蛋白質をSDS中で100°C8分間処理しても分子量に変化がなかった. (8)EDTAで洗浄したROSにおいて, Ca^<2+>存在下, 66K蛋白質がcGMPと結合した. (9)カエルROS蛋白質を脂質平面膜に組み込んだ電気生理学的実験により, チャンネル活性としてcGMPで開閉されるものと, cGMP存在下でCaイオンで開閉されるものを検出した. 考察 cGMP依存性チャンネル蛋白質については, ウシの視細胞外節の分子量63Kの蛋白質(Cook et al 1987)と39Kの蛋白質(Matesic & Liebman1987)が報告されている. 我々は250K蛋白質画分のチャンネル活性を確認した. 66K蛋白質はウシROSの63K蛋白質に相当すると考えられる. 250K蛋白質が66K蛋白質のオリゴマーである可能性は, SDS中で煮沸しても分解されなかった事から否定的である. 以上より, ROSには250K蛋白質を含む複数のチャンネル蛋白質があり, 視細胞の光に対する感度調節等に貢献していると考えられる. 250K蛋白質の更なる精製, 視細胞外節での局在性, およびチャンネル活性の更なる検討などは現在進行中である.
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