研究概要 |
本年度は次の点について、主に研究した。 1 小学校の理科の教科書を5社(東京書籍,大日本図書,教育出版,学校図書および啓林館)の全学年について、実験器具の種類,記載方法および記載回数を明らかにした。 2 1の結果をもとにして決定した実験器具を図示した調査用紙および回答用紙を作製し、東京都の公立中学校10校の1年生859名を対象に、実験器具名の知識および実験器具の使用経験について調査を行った。 研究の結果、明らかになった事を要約すると、次のようになる。 1 教科書への実験器具の記載方法は(【I】)図と名称が同時に記載,(【II】)図のみ記載,(【III】)名称のみ記載の3種類であり、その割合は(【I】)が29%,(【II】)が67%,(【III】)が4%であり、小学校理科の教科書の記載は(【II】)に偏っていると言える。全体的に記載頻度は器具の種類により差が大きい。 2 実験器具名の平均正答率は、使用教科書により60〜74%とばらつきがある。また、5社の平均値は男子の方が女子よりもやや高い傾向が認められた。 3 調査した実験器具について、「使用経験あり」の平均率は76〜87%であり、全実験器具の平均は81%と高く、小学校では比較的多くの実験器具を使用していることを示す。全体的に、使用経験の高い実験器具の正答率は、一部の例外を除いては高い傾向が認められた。 4 児童にプラスに影響すると考えられるのは、次の点である。(1)実験器具の教科書への記載頻度を多くする。(2)記載方法は図と実験器具名を併記し、実験器具の使用経験を多くする。今後は実験器具名の知識と教科書への記載方法の相関について発展させる。
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