研究概要 |
本研究の目的は、算数・数学科の一斉授業において、中以下の児童・生徒のみならず、特に進んでいると思われる子を配慮した指導の仕方を探究すること、ならびにそのような指導が効果があったのかどうかを評価する手立てを開発することにあるというものであった。 第1の目的に対しては、小学校で8例,中学校で7例もの授業を実践することができた。また、可能なら2回目の授業ということで、小学校で1例,中学校で2例補足することができた。 進んだ子を配慮した授業として大事なことは、提示するはじめの問題や教材が「しっかりしたもの」でなければならないということがわかった。しっかりしたものとは、どの子どもにも解答できるということと,特に進んだ子にとって発展させられるものという意味である。本年度、全体会合を3回,東京・横浜地区の会合を3回,東京だけの会合を1回もったが、それぞれの会合において、学習指導案,教材の検討,そして実践授業の報告を行ってきた。その中で、当初予定した教材を変更したり、もっとよいものをということで、例えば、中学校では次の7つの題材が取りあげられた。 (1)2次方程式(2)平方根(3)円(4)星形五角形(5)いろいろな四角形(6)関数(7)1次関数 このことから中学校では確率・統計以外の主要な領域で進んだ子を配慮した授業が可能であることがわかった。 一方、第2の目的に対しては、観察や子どもの感想から、授業の中で子どもの反応を生かしたり、進んだ子に対応した手立てをうつことがよかったことがいくつか報告されている。これについてはもっと研究すべきである。 本研究のまとめとして、約180ページの報告書を作成した。研究成果は日本数学教育学会等で行う予定である。
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