研究概要 |
中学校の技術・家庭科教育には, 座学と実習の, すなわち, 頭と手の調和のとれた学習活動が要求される. そのためには, この学習を進めていく上で生徒の主体的な学習態度の育成が課題となる. 生徒は自らの学習目標を理解するとともに, 現在の学習状況を適確に把握することによって, より深い, あるいは, より高い構成段階の学習へと自ら進んでいき, 同時に, その進展に喜びを感じるようになる. この場合, 自らを適確に把握すること, すなわち, 生徒の自己評価が重要になる. ここに提案した新しい評価法は, 生徒の評価を教師の評価と同程度に取り入れ, 両者の整合性によって学習の成立をみていこうとするものである. この意味では, この評価法を整合評価法と呼ぶことにした. 1年目は, 主にこの評価法の基礎的な検討を行い, 本評価法は形成的評価に位置付けられ, 一斉授業における学級集団と生徒個人の両方の学習特性についての知見が得られることを明らかにした. また, この結果を見易く表示するコンピューター処理法も確立した. 2年目は実践を主とし, 技術系列においては, 電気1領域の学級集団の授業過程を分析し, 指導上のいくつかの問題点を明らかにした. 家庭系列では食物1領域で, 小集団を編成して授業を進めた場合の内容の深まり方を検討し, 親和度のみを主体にした編成は望ましいと言えないことを示した. 本研究は, 始めたところで, 本評価法の有効性を判断するものは早計であると言える. 学級特性についてはいくつかの知見を得たが, 個人の学習特性のとらえ方とその解釈については, 多くの検討すべき点がある. とくに, 評価のフィード, バックが問題である. 研究の主点を変えて, さらに実践を進めていくべきであると言える.
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