研究概要 |
わが国の技術教育における課題の一つは, 技術教育の内容が体系化されていないことである. 本研究は, 一般教育としての技術教育の立場から, 基本的な技術概念に基づく構造化されたカリキュラムを開発し, 試行を行った. 研究の第一は, 基本的な技術概念を検討し, カリキュラムの枠組をきめることである. カリキュラムの中心となる技術概念は, 「システム, 材料, エネルギ, 情報」であり, これらから派生する下位の技術概念をとりだし, さらにその構造化を試みた. 研究の第二は, このようなカリキュラムの検討に基づく教材開発と, その試行である. 教材は, 中学校における機会領域及び電気領域から, それぞれ1つをとりあげた. 機械の学習は, 「エネルギ変換」の学習をどのようにすすめるかを検討するため, 2つのグループを設けた. 一つは, 内燃機関の整備を行うグループであり, もう一つは, 蒸気機関の模型製作と内燃機関の観察と膨張の実験を行うグループである. 模型製作・観察グループは授業時数が少ないにも拘らず, エネルギ変換の理解は, 整備にようなくとも可能であることを示した. 電気の学習は, 「トランジスタ回路」の理解を目的として, 増幅回路を設計し製作する. このため, 次の2つのグループを設けた. 一つは, 「インターホン」の製作を中心とし, 設計を教科書程度の内容で学習をするグループであり, 他は「水位報知器」の設計と製作を行うグループである. 後者は, 半導体やトランジスタの機能にかかわる概念及び法則を理解させる必要があり, そのため多くの教材・教具を開発した. 結果は, 「水位報知器」の設計と製作を行うグループが, 「トランジスタ回路」の理解において全体的にすぐれていることがわかった.
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