研究分担者 |
迫 明仁 旭川荘厚生専門学院, 専任教員 (30144728)
近藤 勲 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50033361)
川端 親雄 岡山大学, 総合情報処理センター, 助教授 (90032812)
柳原 正文 岡山大学, 教育学部, 助教授 (00032219)
垂水 共之 岡山大学, 教養部, 助教授 (50033915)
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研究概要 |
通常の知能診断用諸検査がとっている抽象度の高い課題設定は, 障害児の機能の実態にそぐわないため, 日常的行動が示す情報を通じて能力系の診断を図るのが本研究の目的である. 昭和61年度に, 有効な行動生態アイテムの収集とその系統化, 行動生態情報から能力情報への変換規則の検討, シミュレーションによる日常環境構成法を用いた行動的知能の検出, 等の準備段階を終え, 昭和62年度は以下の課題を推進した. 1.日常行動生態系・認知機能系情報データベースを内蔵する診断システムの構成. ;既成の発達診断用検査(ウズギリス・ハント発達尺度, コロンビア知的能力検査ほか), 教育領域の行動観察項目, 医学領域の臨床診断用病理行動アイテムから抜粋した1200項目について, 背景にある認知情報処理機能, 知能因子(Guilford知能構造モデルに準拠), 年齢基準, 病理機制に関する情報を整理し, これを総合した発達情報データベースを作成した. さらに, 同データベースを用い, 障害児の日常および臨床場面の行動観察レコードを読み込み能力情報に変換, 出力させる診断システムを完備した. 本診断システムは精神遅滞児のほか自閉症児にも拡張が可能であり, 応用実施成績の累積(65例), その効用の調査(内22例, 長期追跡指導の経過との照合)を加え, システムの実用性を確認した. 2.簡易型診断プロファイルの作成. ;以上の応用課題として, 一定の質問項目で構成される簡易型診断プロファイルを作成した. 上記の診断システムが, 計算機の記憶・処理能力の支援のもとに診断が対話形式で進められるのに対し, 予め用意した質問群への応答を通じて診断を行うことを意図したものである. プロファイルは, 教師の日常観察で対応できる内容で構成され, 教育場面での前段診断として利用できる.
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