研究分担者 |
伊藤 昇 三菱電機通信機製作所, 技術部・技術3課, 主事
田中 済 東京大学, 理学部, 助手 (20011570)
家 正則 東京大学, 東京天文台, 助教授 (30111446)
西村 史朗 東京大学, 東京天文台, 助教授 (10012840)
小平 桂一 東京大学, 東京天文台, 教授 (60012845)
森下 巌 東京大学, 工学部, 教授 (70010725)
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研究概要 |
口径7.5m級の大型望遠鏡では主鏡の軽量化が是非とも必要になる. 大型光学赤外線望遠鏡では口径7.5mの主鏡を厚さ20cmのメニスカス鏡とすることを計画している. この位の薄さの鏡は自重によって非常に変形しやすく, 鏡面がたわむとシャープな星像が得られない. 本研究では鏡の支持力を能動的に制御して鏡を平衡状態に保つとともに, 波長の長い研磨誤差については, シヤツクハルトマン法で鏡面形状を測定しながら, 鏡面を正しい形状に制御する方法の確立を目標に能動支持機構の開発を進めた. 有限要素法による鏡面自重変形の数値実験の結果鏡は支持点数400点を必要とし, 支持力誤差の統計的ゆらぎまで考慮して許容支持力誤差は負荷50kgに対して±5grms, すなわち, 1×10^<-4>の精度を必要とすることがわかった. 力支持はボールネジとバネを組合せたアクチュエータで行うこととし, 第1年次に実験用アクチュエータの設計, 試作を行った. 性能測定試験の結果, 軸方向支持力を測定している歪ゲージ型ロードセルにクリープ現象が現れていることがわかった. このため本年度には音叉型ロードセルを開発し, これを用いた実験用アクチュエータ2号機を試作した. こゝでは横方向支持のてこ比を変えてアクチュエータの軽量化をはかった. これについて性能測定をくり返した結果, 最初には音叉との共振という現象もみつかったが, 音叉型ロードセルを吊っている取付金具の剛性を高めることで解決し, 支持力誤差を±5grmsと小さくすることができた. 上記の必要精度からみて本設計のアクチュエータは実際の鏡面抑制につかえるものと判断した. 風などの外力で鏡が振動(最低次振動数は約15Hz)した場合の振動制御の問題, 高分解能観測のためには鏡が周囲の空気と0.1゜C以内で等温であることが必要であり, アクチュエータからの発熱を能率的に排熱する問題などの検討が重要である.
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