研究概要 |
ダイヤモンドアンビル型高圧発生装置の発展によって, 高圧下の世界を目で直接観察できるようになった. それ故, 圧力の値の大きさを視覚的方法で決定できれば大変便利である. 色の変化を利用して圧力の半定量的な値を決める圧力インジケーターとして, Pd-ニオキシム錯体(Pd(niox)_2)が大変よい具体例であることは, 昨年の科研費補助金実績報告書にすでに記述している. Pd(niox)_2は圧力の増加にともなって黄色から橙(0.8〜1.4GPa), 赤(1.4-2.3GPa), 赤紫(2-3GPa), 青(2.7-5.5GPa), 緑(5.5-6.5GPa), 淡黄(8GPa以上)と変化する. この色の変化から圧力を半定量的に知ることができる. この錯体の類似のものは非常に多く知られており, 図1にその代表的なものを示した. 錯体は美しい色をもち, Pd(niox)_2と同様高圧下で著しく色を変化させる. Ni(dmg)_2は赤色から1.7GPa付近で緑にかわり, さらに圧力を上げると黄緑になる. この場合には0-4GPa間の圧力インジケーターに使用できる. またPt(dmg)_2は青から緑・黄色と変化し, 1GPa以下の圧力インジケーターで, 最も実用的な利用価値が大きい. 色調はサンプルの状態, 圧力媒体, 圧力分布, 光源の種類や強度など多くの要因に依存している. 特にサンプルの状態が再現性その他に大きな影響を与える. それ故, ダイヤモンドに直接蒸着膜をつくる方法を試みている. この方法の利点はサンプリングに個人差が出ないことである. 図中の錯体の薄膜は作製できることを確認した.
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