研究概要 |
昨年度末に設計試作した新型Zr/W-高輝度電子銃を走査型電子顕微鏡JSM-840に搭載して, 高分解能走査型電子顕微鏡として実用化することに成功した. その使用条件は次の通りである. (1)電子銃部 真空度 10^<-9>Torr 試料室 10^<-6>Torr. (2)Zr/Wエミッター 加熱限度 1800K 加熱電力 2.6A×0.8V (3)使用時の負荷電流 130MA (4)最高分解能 8nm at 5KV 一次ビーム電流 10^<-9>A (5)加速電圧 0.5〜5KV 装置は稼動開始以来3ケ月を経過しているが, 非常に安定な動作を示しており, Zr/Wエミッターの電子放射特性には何ら変化の様子もみられず, きわめて優れた特性をもっていることを確認している. 以上の結果より, 本試験研究の目的は, ほぼ100%に近い形で達成出来たものと評価している. 更に性能を向上させるためにZr/Wエミッターを自作して, より高性能のエミッター開発を行ってきた. Zrを被覆する前段階処理が重要であり, 苛性ソーダ水溶液による電解研磨がその結果, 今までのところ一番良い結果を与えている. Zrは, Wire状のもの, ZrH_2パウダーを塗布してやる方法, いづれも本質的な差はみとめられていないが, 加熱方法として, 通常の通電加熱方式に比べて今回我々が開発した電子衝撃方式はジルコニウム化にきわめて優れた特性をもたらすことを見出した. 現在この方式でZr/Wエミッターを自作しつつある.
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