研究概要 |
本研究は, 機械構造物の設計において, 最も上流側にある構想を創出する段階における作業過程が, いわゆる経験と直観に基づくノーハウ的過程であったものを, 非数値的な組合せ論理の範ちゅう内でコンピュータ側にかなりの寄与をさせようとする, 概念設計過程の計算機援用化システムの開発に関するものである. 構造物の概念設計の基本は, 材料力学あるいは構造力学における形状決定問題と呼ばれるが, これは経験的知識と力学的基準のもとで, 対話的あるいは自動的に設計の基本形を創出するもので, 設計の人工知能化への発展の一環として位置づけられるべきものである. この考えのもとで, コンピュータシミュレーション的になされる形状決定法と表層知識と呼ばれる経験的知識の処理とを組合せて, 実構造設計にも応用できるシステムとしてインプリメントし, 知識情報処理環境にあるエンジニアリング・ワークステーションクラスで稼働する概念設計支援システムを開発した. 実用システムに近いプロタイプとして, 構造物を骨組構造に限定して2つのシステム(MarkI,MarkII)を開発した. これらは対話的にではあるが, 設計者に種々のデータと知識を提供しながら, 骨組の構想を組みあげて行くことを可能とするものである. これに付随して, 問題解決型のシステムである材料力学学習システム, 診断型のシステムである故障診断エキスパートシステムの開発なども先行研究として得ている. また, 設計の深い知識の1つと考えられる形状決定アルゴリズムの複雑システムへの適用に関する研究も行われた.
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