研究概要 |
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて表面粗さ, 表面粗さを二次元的に並べた表面形状を測定することについての基礎的な研究はこれまでにも進めてきていたが, 弟子顕微鏡の試料台が固定されていたこと, 電子ビームの加速電圧が一定であったこと, 試料台と検出器の間の距離が固定化されていたこと, 画像の倍率も十分には大きくできなかったこと等の制約があり, 上記の諸条件や試料材料物性と形状とを求める反射電子画像信号の性質との関係が明確ではなく, 測定の対象とする試料の種類, 形状測定の信頼度や裕度については検証が十分ではなかった. 本研究では従来進めてきた, 4個の反射電子検出器を用い, 球形試料を標準として表面形状を求める方法について, これらの点の特性を明らかにすることを考慮して進展を図っている. 4個の反射電子半導体検出も10mm*10mmと従来より大きなものを用いて検出感度を上げ, 大きな倍率で容易にかつ鮮明に画像が得られるようにしている. 電子ビームの走査は外部周期によって行い, 検出対象を画像の視野内で効率的に検出できるようにしている. 信号はパーソナルコンピュータに取りこみ処理されるが, SEM側信号処理の速度とAD変換速度の周期, 4検出器の感度の補正, 微弱な信号の増幅に伴う雑音の除去等を考慮した装置の構成を図っている. 測定対象には, 従来も用いていたヴィッカース硬さ試験の圧痕を標準的なものとして, 圧痕の向きと検出器との相対的な方向関係による測定された形状への影響を調べ, 方向には関係なく精度よく測定できることを明らかにしている. 新たな試みとして反射電子信号の強度分布のモデルについて球形試料を対象に検証し, 対向する二つの検出器の間の差信号の特性が対象面の傾斜を求めるために適したものであることを新たに見いだし, 非球面形状の測定に適用を試みている.
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