研究概要 |
本研究は切削工具の逃げ面摩耗量を検出するためのセンサーを内蔵したスローアウエイ工具を開発することを目的として行われ, 以下の成果を得た. 1.逃げ面摩耗量検出原理:工具逃げ面上に切れ刃に平行に抵抗薄膜回路を形成する. 切れ刃の摩耗とともに回路も脱落し, その抵抗値が変化する. これより, 回路の抵抗値を測定することにより逃げ面摩耗量を検出できる. 2.逃げ面摩耗量検出センサーの設計および形成方法の確立:逃げ面摩耗量検出センサーすなわち抵抗薄膜回路を複雑な形状にする場合, その抵抗値は回路をいくつかの長方形ブロックに分割し, それらの抵抗値の和として得られる. 抵抗薄膜回路はTiをスローアウエイーチップの表面上に蒸着し, その後エッチング処理を行い形成する. 3.切削温度検出センサーの付加:Tiの抵抗率の温度依存性を利用し, 切れ刃の平均切削温度を検出できる. 切削温度検出センサーを付加した抵抗薄膜回路の設計および工具ホルダーの試作は終えている. 4.センサー信号検出処理システムの開発:抵抗薄膜回路の抵抗値を定電流回路により電圧値に変換し, A/Dコンバータを介してマイクロコンピュータへ入力するシステムを開発した. その電圧値より逃げ面摩耗量を算出する. 5.センサーの有効性の確認(基礎実験):逃げ面摩耗量検出センサーを形成した工具を試作し, 摩耗実験によりそのセンサーと信号検出処理システムの有効性の確認を行った. 6.インテリジェント切削工具における位置づけ:本研究において開発したセンサーは, 研究代表者が昭和62年度科学研究費補助金奨励研究(A)(研究課題番号61750112)において行っているインテリジェント切削工具のセンサー部を構成しインテリジェント切削工具の最も重要な位置づけにある. 7.まとめ:以上より初期の目的を達成
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