研究概要 |
磁性流体を用いたダンパーやアクチュエータの開発のための基礎資料の提供を目的として, 非一様磁場下での磁性流体の管内振動流の流動特性を解明するための試験装置を試作し, その流動特性を明らかにした. まず 非一様磁場下で変動圧力勾配の作用する磁性流体の管内脈動流について理論的研究を行い, 磁場作用下では変動速度の大きさは抑制され, また, 変動圧力勾配に対する変動速度の位相遅れも小さくなることを明らかにした. ついで, 水ベース磁性流体(重量濃度20%)を用い, 外部に設けた加振器により管内振動流を誘起させ, 周波数f=5〜100Hzの範囲で最大磁場強さHmax=150kA/mの非一様磁場分布下の流動特性を実験的に求めた. 磁場の作用下での圧力勾配の増加はShliomisの基礎式に基づく理論解析結果に比べてはるかに大きく, 水ベース磁性流体の円管内定常流の場合の異常な圧力損失の増大と同様, 見かけ粘度の増加以外に流動抵抗を増加させるメカニズムが働いていることを明らかにした. アクチュエータへの応用の基礎研究としては, 加振装置を取り外し, 交流磁場の印加により磁性流体の管内プラグに変動磁気力を作用させられるように装置の改造を行い, 管内プラグの振動特性を周波数f=0〜20Hzの範囲で求めることにより, 管内プラグの共振特性ならびに位相遅れ特性を明らかにした. さらに, 共振状態での最大振幅は直管の場合プラグ長さと共に直線的に増大すること, また直管の代わりにU字管を用いることにより, プラグの振動を有効に利用できることを示した.
|