研究概要 |
高含水作動液(水分95〜98%)を用いて, 連続使用圧力25MPa, 回転数1800rpmで作動可能であり, 加えて従来から問題であった保守管理上の改善を図った, ピストンポンプを試作評価することを研究目的とする. 究極には火災安全性の点から石油系作動油を使用できない分野に, 液圧制御システムを実現することである. 第1年度においては, 斜板式ピストンポンプの主要しゅう動部に流体油滑状態を実現するため, メーカから提供された寸法に合わせて静圧軸受部の設計を行い, 制作を依頼した. まず, 弁板-シリンダブロック間については, ポンプ軸のばね効果を加えた設計法を開発し, 損失動力の小さい静圧パッド寸法を決定した. ピストンスリッパ部については, 斜板角度が16°であるため, 基本的な問題は生じないと判断した. ピストン・シリンダ壁間しゅう動部については, 理論解析を第2年度に引き継いだが, 通常のピストン寸法では, 完全な流体油滑化は困難であることが分かった. このため, 供試ポンプに採用した固体接触の生じるピストンについて, 摩擦ならびに漏れ損失を解析し, 実験結果と比較した. 第2年度に, エアルション形含水作動液を用いて試作ポンプの性能実験を, 回転数800〜2000rpm, 吐出し圧力25Mpaまでで実施した. 特に外部漏れ流量が回転数にほとんど依存しないこと, その大部分がピストン・シリンダ壁間で生じること, などは, ポンプが理論解析通りの状態で作動していることを示しており, 実験終了後のしゅう動部の損傷も少ないことから, ピストン・シリンダ壁間については今後の課題であるが, ほぼ所期の目的を達成できたと判断できる.
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