研究分担者 |
渡辺 吉典 三菱重工(株), 技術本部名古屋研究所, 主任
青木 美昭 三菱重工(株), 技術本部名古屋研究所, 主査
角口 勝彦 九州大学, 工学部, 助手 (60194867)
AOKI Yoshiaki Mitsubishi Heavy Industries, LTD, Manager
WATANABE Yoshinori Mitsubishi Heavy Industries,LTD, Chief
林 秀千人 九州大学, 工学部, 助手 (10173022)
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研究概要 |
本研究は, 熱交換器の効率上昇ならびに系の信頼性向上のために, 熱交換器のヘッダから多数の分岐管へ局所熱負荷に応じて冷媒を配分することのできる分岐管を開発することを目的として行われたもので, 結果は以下のように要約できる. (1)ヘッダを想定した水平な主管から垂直下方に設定されている分岐管への液体の流入の機構は, 大気ほう部と水スラグ部で異なる. 大気ほう部では液体は分岐管へ自由落下的に管の壁を伝わって流下し, 分岐管には主管から連通する気柱が形成される. このような状態の場合三本の分岐管への流体の配分量に差異は生じない. 一方液体スラグ部では小気ほうを含む液柱が分岐管へ流入することによる分岐管入口部の静圧低下のため液体が吸引される. これが各分岐管への不等配分の原因となり, 液体スラグの規模と通過速度が配分量を決定する支配パラメータとなる. (2)1本の主管から2本の分岐管へ垂直上方へのY字形分岐の場合, 管の傾斜により不均一な配分が生じ, この場合もT字形分岐の場合と同様に液体スラグ通過時に偏流が促進される. 小気ほうは浮力により主管の傾斜とは反対側に偏在し, それがそのまま分岐管へ流入するからである. 本気水分岐装置は気ほうの細分化の機能を有しているため, 上記の液体スラグ部での偏流を促進することになる. (3)R113を用いたT字形分岐特性の検討結果から, 本質的には上記(1)項の空気-水系の偏流の機構が現象を支配する一つの要因となっているが, 偏流の度合いは緩和されることがわかった. これは, 熱負荷を模擬して分岐管を加熱しているためで, 分岐管の入口と出口とにおける流体の運動量に差が生じ, この運動量変化に応じた圧力損失が生じるためである. このことは, 実機における加熱条件下では, この運動量変化による力が第(1)項の静水圧ならびに摩擦圧力損失との力の平衡によって分岐管内の流動が制御され各分岐管への配分量が決定されることを意味している.
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