研究概要 |
本研究は, A15型Nb3Geのテープ線材化を目指して行ったものである. CVD法により, ハステロイB基板の両面にNb3Ge層を連続的にコートし, 製作条件と超電導特性の関係を求めた. その結果を要約すると次のようになる. 1.A15型Ne3Ge相の生成のためには, 製作温度として850°C以上に加熱する必要がある. 2.高Tcおよび高Jc特性を有する試料では, A15相の他にわずかにNb5Ge3相の析出が認められる. 3.基板テープと生成物であるA15相は, 成膜速度が遅い場合ほど顕著な反応が起きる. 特に反応炉内に温度の不均一性が存在すると, 蒸着したA15相の部分が高温度領域を通過することによりテープとの反応が促進されA15相が破壊されてしまう. 4.最適製作条件の下で, 長さ〜14cmの均一なTcを有するNb3Geテープを製作することができた. 最高のTcは, 〜20, 2Kである. 試料の4, 2K, 15TでのJcは〜7, 7×10^4A1cm^2, Hc2は〜25, 4Tである. 今後は, さらに高Tc化を図るため精密な原料ガス組成制御を行う必要があるが, 最大の課題は製作速度である. 現在のテープ材の製作速度は, 〜0, 3m/hrであり, 実用化を考えるためには, 10倍以上に上げる必要がある. 現装置では, NbCl_5の蒸気圧を利用して原料供給を行うため高い搬送速度を実現することが困難である. 将来は, 塩素ガスを用いてNb, Geの直接塩化により, 塩化物を生成し, 供給する方法を検討すべき段階であると考えられる.
|