研究概要 |
61年度では, シリコン窒化膜を室温・低周波(50Hz)プラズマCVD法で作製し, 良質な薄膜を得ることに成功した. 62年度は, この膜をデバイスに応用する事を目的として, 次のような研究結果を得た. 1.5インチφSiウェハー上に堆積した結果, 屈折率2.0±0.05, 膜厚 1000±30〓の面内分布をもつ均一なピンホールのない電気的性質のよい薄膜が得られた. この事から, 室温低周波50HzプラズマCVD法によっても大面積均一堆積が可能であることが明らかとなった. 2.Siウェハー上に均一な膜厚分布を持ったSi熱酸化膜上にシリコン窒化膜を堆積し, 高周波C-V, 準静的C-V測定を行ない, 固定電荷密度NFB1界面準位密度NSSを求め, それぞれ1.5×10^<11>cm^<-2>,8×10^<10>eV^<-1>cm^<-2>であった. これは, 非常に低い値であり低周波プラズマCVDにもかかわらず, イオンのダメージが少ない事を示している. 3.低周波プラズマCVDにおける基板加熱の影響について実験を行い基板温度が高いほど, 緻密な膜が形成され, わずかにSi過剰な膜となり, また電気的特性は, 基板温度に大きく依存しないことがわかった. 4.これらの事から室温低周波プラズマCVD法堆積によるシリコン窒化膜は, 低温プロセスが必要な化合物半導体, アモルファスシリコン上の絶縁膜や, 表面保護膜として十分な特性を持っているものと考えられる. 5.この室温低周波プラズマCVD法は, シリコン窒化膜以外の薄膜作製にも有効であるかについて, アモルファスシリコンとカーボン膜の堆積によって確認実験を行った結果, 良質な薄膜が得られた. この事から, この方法は, 広い使用範囲を持っていることが明らかとなった.
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