研究概要 |
磁歪効果とこれに複合した光ファイバ機能素子を用いて, きわめて微弱な磁界を計測するシステムの試作研究をおこなった. この光ファイバセンサの開発のために必要な光学回路素子特に光干渉計素子についても開発した. まず, 光ファイバに結合する磁歪材料として, ニッケル以外に, 非晶質ガラス(metalglass)の中に大変に有望な材料があるので, これを光ファイバに接着して, 微弱磁界用センシング素子を製作した. これと光ファイバMach-Zehnder干渉計にいれて, 磁界による歪の量を光学的に測定する. 磁歪材料の磁界にたいする伸び特性から, 交流あるいは直流のバイアスを加えると, それぞれ直流あるいは交流の微弱磁界が測定されることがわかった. 総合的な実験の結果, 交流磁界の測定時は, 測定精度が10万分の1エルステッドで, 非常に高感度で微弱磁界が測定できる. 直流磁界の測定においても, 同等の高感度が期待できるが, このような高感度を実証するためには, 完全な無磁界室が必要である. この光ファイバ磁界センサの一つの応用として, 磁界の勾配を測定することによって, 電流分布等を知ろうとする方法が考えられている. ここでは, このような磁界測定素子を複合化することによって, 任意の方向の磁界の勾配を測定することができる光ファイバ磁界勾配センシング素子を提案した. これによって, 磁界の回転, および, 発散のようなvector成分も測定することができることを示した. また, 光ファイバの非線形性が, このような測定においては重要であることに鑑み, 光ファイバ中に伝搬するソリトン波の振舞いをあらわす非線形シュレディンガー方程式の小信号的な解析法を提案した. また, 光学的な干渉計において必要な光ヘテロダイン法の応用である疑似ヘテロダイン検出法についての改良をおこなった. これらの試験を統合して, この試作磁歪形光ファイバ微弱磁界センサの有用性を明かにした.
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