研究概要 |
本研究は, 脳幹部を中心とする神経系の診断手法の一つとして誘発眼球をとり上げ, その異常の程度を定量的に診断する方式の実用化上問題となる諸点の解決を目標とした. 61年度は眼球運動波形をコンピュータによって処理するためのハードウェア部の制作を中心に研究を行った. その結果, 眼球運動の情報をコンピュータにとり込むためのA/D変換部, 主たる処理を行うCPU(UX300FII)へデータを転送する部分について主要部の設計・制作を完了した. また, 信頼度お高い診断パラメータを得るためには, 眼球運動と眼瞼運動を分離して測定する必要があるが, 眼瞼運動のみを独立して測定する磁気的方法についても考察を行い, 通常は雑音として排除してしまう眼瞼運動自体にも神経系の異常を検出するのに有効なデータが含まれることが明らかとなった. 62年度は, 前年度に制作したハードウェアを用いて眼球運動と, LED型移動視標の運動との間の相関関係を算出するためのソフトウェアの開発を進めるとともに, 得られた診断パラメータを多変量解析によって処理するための対話型プログラムを開発し, データのバラつきの程度などをCRT上で確認しながら多変量解析が行えるようにした. 開発されたプログラムは一般性をそこなわないよう配慮されているので, 眼球運動の異常を表わすパラメータのみならず, 前年度考察した眼瞼運動の異常を評価するパラメータの評価やさらには医用診断データ一般(例えばFCMデータ等)の多変量解析にも利用できるものである. また62年度はランダムな刺激が生体反応に及ぼす効果についてより一般的な考察を行った.
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