研究概要 |
2年にわたる本研究の成果は, 以下に示す通りである. (1)モデルコンクリートによる管内流動の可視化実験法の確立 高分子吸水性ポリマーを流動相とし, 軽量骨材およびコークスを固相とするモデルコンクリートを開発した. 実際のコンクリートの流動抵抗性と相似になるように一高分子吸水性ポリマーの配合決定方法を与えるとともに, 管内流動途上の固相の運動を可視化することを可能にした. さらに, ビデオとA/D変換器を用いて, 固相の粒子運動を時系列的に計測するシステムを完成させた. この実験・計測手法を用いて, テーパー部の管内変形と閉塞の過程, 分岐部分の材料分離の過程を初めて明らかにすることができた. (2)電気抵抗によるフレッシュコンクリートの管内材料分離測定法の開発 実際のコンクートの電気抵抗を計測することによって, コンクリートの骨材含有量を間接的に求める測定法を実用化した. さらに, 流動途上のコンクリートにも適用できるように, 電極の磨耗に対する耐久性の向上を図った. この測定方法を用いて現場実験を実施し, その結果から流動途上での材料分離の程度と閉塞危険性の予測について, 提案を行なった. 以上の成果を基に, 2件の特許を申請中である. (3)固-液2相材料のポンプ圧送に関する材料分離モデルの開発 (1)による可視化実験によって得られた粒子運動から, 固液2相材料の流動モデルを作成し, コンクリートの流動途上の材料分離と閉塞のシミュレーションを実施した. その結果, (A)テーパー部に材料分離が促進すること, (B)液相の粘性増加は管内圧力の大幅な上昇をきたすが, 材料分離抵抗性を増加させるために, 全体的には流動性の高い材料となることが, 解析的に明らかとなった.
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