研究概要 |
本研究は, 横方向拘束鉄筋を有する正方形断面柱の終局耐力と靱性に及ぼす. 軸方向鉄筋の本数, フープ筋の量, 及びその材質などの要因の影響を実験的に明らかにすること, 及び2軸曲げを受けた場合の耐力と靱性の定式化を試みたものである. 併せて, 配筋細目についての指針的提案も行った. 本研究で得られた主な研究成果の概要を以下に示す. 1.柱の終局耐力が軸方向鉄筋の座屈によって生ずる場合をも考慮すれば, 横拘束鉄筋の量は, 軸方向鉄筋量との関係で決定されるべきである. その効果を定量化するのに横方向補強比(=横拘束鉄筋比/軸方向鉄筋比)を用いることが可能であり, 一般に, 横拘束鉄筋により耐力と靱性の改善を期待する場合は, この値を1.0以上とする必要がある. 2.中間横拘束鉄筋を配置して, その効果を期待するには, 横方向補強比を大きくすること, 拘束するコンクリートの面積を大きくする必要がある. 3.高強度コンクリートを用いた正方形断面柱が1軸及び2軸偏心載荷を受けた場合の終局耐力を簡単に推定する式を提案した. 4.1軸偏心載荷を受ける正方形断面柱の靱性の評価は, 面積靱性率によるよりも曲率靱性率による方が適当であることを示した. また, 曲率靱性率を横方向補強比で表示する式を提案した. 5.2軸偏心載荷を受けた場合の曲率靱性率の評価方式として, 上記4.の1軸曲げの評価式で得られた値に係数0.9を乗じる方法を提案した. 6.大型供試体によって, 2軸曲げを受けるRC柱の終局耐力と靱性の確認実験及び実用式の検討を行なった結果, 従来の2軸曲げ提案式の内で最もよく適合したものはRamamurthyの近似式であり, 約7%安全側の値を与えた. また, 土木学会コンクリート標準示方書解説中の近似式も実用上充分な適合性を有していることがわかった.
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