研究概要 |
1.リニアモータ・直接駆動方式による載荷システムをオープン・ループ制御方式でコントロールするオンライン応答実験システムを開発した. 2層骨組模型による地震応答実験・風応答実験を行い, 実験システムの性能を検証した結果, 載荷システムの位置決め能力がきわめて高いことが判明した. 2.NCサーボモータ・送りネジ方式による載荷システムをクローズド・ループ制御方式でコントロールするオンライン応答実験システムを開発した. 2層K形筋かい付骨組模型などによる地震応答実験を行い, 実験システムの性能を検証した. このシステムは1.に比較して, 若干載荷装置自体の位置決め能力は劣るが, 外部変位計を用いてクローズド・ループ制御方式で実験を行うと, 制御誤差を十分小さくできることが判明した. 3.実験システム2.では, オーバーシュート誤差をある程度許容し, アンダーシュート誤差をできるだけ小さく抑えるためのアルゴリズムを開発し, 骨組の地震応答を十分高精度にシミュレートできることを実証した. 4.両実験システムとも油圧源が不要であるという長所をもっており, 応答実験の必要な場所で簡単に応答実験が行えるという機動性を有している. 実験システム1.は, 駆動部分の非接触を利とした高応答性・高精度位置決め能力を有しているが, その反面, 荷重の保持能力に劣るところがある. したがって, この方式は準静的なオンライン応答実験よりも, むしろ高速オンライン応答実験や, 振動のアクチブなコントロールなどに適した実験システムである. 一方, 実験システム2.は位置決め能力という点では1.に比べて若干劣るが, 限られたパワー内でも送りネジのピッチを変えることによって高出力が得られるので, 準静的なオンライン応答実験に適した実験システムである. 機動性を活かして, 例えば屋内機器の地震応答実験を現場で行うなどの利用が考えられる.
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