研究概要 |
昭和61, 62年度の研究成果の主要点はつぎの如くである. 1) X, Y, Z三方向にひずみ測定用イートンゲージを立方体コンクリート供試体の中心部に埋め込み, 銅〓で溶接シールを施こした試験体を作製した. 2) 予備的試験により, このひずみ計は最高試験温度320°C(573°F)の多湿度下で長期間コンクリートのクリープ歪みを精度よく安定的に測定しうる. 3) クリープ荷重Fc/3(Fc=48N/mm^2)のもとで, 試験温度30°, 60°, 95°, 150°, 220°および320°Cにおいて乾燥と湿潤の両条件について一軸と三軸圧縮実験を行った. 4) 観測クリープ曲線にバーガースモデルを適用し, E_K, 7_M, 7_Kは高温ほど定数値が低下し, かつ100°C以下の領域で湿潤材が乾燥材よりも小である. 但し, E_Mのみは乾燥材の方が小である. これは内部ひびわれに依ると考えた. 5) 一軸・三軸クリープともにクリープひずみの合成曲線が存在する. またクリープの活性化エネルギーは一軸は約10, 三軸で約15KJ/molである. 6) ペースト・モルタル・コンクリートの線形破壊靱性K_<IC>, G_<IC>の(a/D)依存, 骨材粒径(d)依存, 調合(W/C, S/C)依存, 材齢依存, はり断面(D)依存, および空隙(V, vol%)依存を個別に実験により明らかにした. 7) モルタル・コンクリートの曲げ強度と圧縮強度のバラツキ特性を確率統計的に解明するために, ワイブル定数mにより検討した. この材料固有の特性値であるmに及ぼす, 調合(W/C, S/C)依存, 混和剤依存, 空隙率(V)依存, 供試体寸法(D)依存, 材齢依存, 応力速度(j)依存, 骨材粒径(d)依存, 骨材のfm依存, 粗骨材容積依存(Vg)および骨材種別(川砂利, 砕石, 高炉スラグ, 人工軽量各骨材)の各効果を詳細個別に検討し, 明確で有意義な知見を収得した.
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