研究概要 |
ビット後方より水ジェットを噴射しながら切削を行うことによって, 主分力, 背分力ともかなり低下することがわかった. 両者の減少率は, ともにビットの摩耗が進むにつれ大きくなる傾向が見いだされた. ビットが摩耗するにつれ, 背分力が顕著に増大することはよく知られている. そこで, 水ジェットを併用しない時の背分力を横軸にとって整理してみたところ, 主分力, 背分力の減少率は, 背分力にほぼ比例することが見い出された. 予備実験においても, 予め大きな押し付け力を加えておく程, 背分力の低下が顕著であった. これより, ビットによって加えられる物理的な力と水ジェットとの相乗効果が有効に働いているものと考えられる. また, 実際に現場に適用する場合, 特に重要と思われるビット寿命は, 水ジェットを併用することによってほぼ3倍程度となる事がわかった. ただし, 切削動力に比べ水馬力が相当に大きく, 全体として動力の節約にはなりそうもない. しかしながら, 機械化掘削において, 通常, 動力費の全体のコストに占める割合は比較的少なく, 水ジェット併用掘削によって能率が向上し, ビット寿命がのびれば全体の掘削費用は低下する可能性も有り得ると思う. 今回の実験において最も工夫を要したのは, ノズルまわりのアセンブリであった. 特にアプローチとノズルとの芯合せは, 精度よく行う必要のあることがわかった. 応用する場合には, アプローチとノズルを一体化し, アセンブリの手数を軽減することが望ましいと思われる. また, アプローチ直前の水流は充分に整流されている必要のあることもわかった. 実験装置においては, アプローチ以前の管路を出来る限り緩やかに曲げたが, 実機においてはスペースの無いことと, 管路の保護が困難となることからこのようなことは難しく, 高圧に耐える小形整流器の開発が必要と思われる.
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