研究分担者 |
杉井 謙一 株式会社神戸製鋼所, エンジニアリング事業部, 係長
早崎 清志 神鋼鋼線工業株式会社, 研究開発部, 研究員
塚田 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (10179971)
花崎 紘一 京都大学, 工学部, 助教授 (20026123)
HAYASAKI Kiyoshi Researcher, Shinko Wire Co., Ltd.
SUGII Ken-ichi Chief Researcher, Kobe Steel, ltd.
|
研究概要 |
本研究は大形橋梁, 大形構築物, 露天作業機械類などのように大きい応力状態で長期間使用される部材の応力, 変形などの測定を, 精度の高いことを主体とせずに長期安定性を主眼として行うための新しい方法を見出すために行ったものである. この目的に適合する方法として具体的には変形を測定しようとする部分に2つの標点を設けてそこを両端の支点とするように金属線を張弦する. この弦の固有振動数は支点距離の変化によって変化するので, 周波数測定を行うことによって変形, ひずみなどの測定を行おうとするものである. 本研究の実施にあたり解明しておくべき事項として, この目的のためには弦振動における不純要素たとえば空気抵抗, 弦の熱ぼう張, 高調波成分などがどの程度に避けられないか, すなわち振動の物理学的純粋性がどの程度にまで要求されるか, それは実現可能であるかなどを挙げ, 順次検討を加えた. また, 支点の具体的形状, 張弦力の微調節方法などについても検討した. その結果, 第2年度において採用した新しい起振方法すなわち変更電流間の電磁力を利用する方法を用いて励振した振動は, その周波数が張弦力ないし支点間距離の変化に対して十分学理的に肯定できるものとなることを認めた. この振動は安定で再現性もよいので, 周波数測定によって支点間距離の変化を十分に求めうるものと認めることができた. よって本研究の目的を達成することができたと考えられる. 今後は弦の長期張弦によるクリープなど長期安定性と大気中の放置にもとづく腐食などの劣化についての検討が課題になると考えられる.
|