研究概要 |
急冷凝固リボン・フレークの押出加工による固化およびSicウィスカープリフォームへのアルミニウム合金溶湯の高圧鋳造による高弾性・高耐熱性合金について研究した結果をまとめると以下のようになる. 1.単ロール法による急冷凝固A1-8WT%Fe合金の組織はα個溶体のデンドライトセル状であり, セル境界には準安定相のA1_6Fe粒子が微細に集合している. 急冷リボンを加熱すると, 微細A1_6Fe粒子の粗大化およびセル内での折出が起こり, これに伴い軟化が進行する. この2元合金に1wt%のジルコニウムを添加すると, 凝固組織に大きな差異は生じないが, 急冷凝固後の急冷リボンの硬さおよび耐熱性が向上する. 2.急冷リボンを冷間圧縮, 熱間圧縮および脱ガス, さらに熱間押出し加工すると, リボンの長手方向は押出方向に整列するため, 縦断面での組織はマクロ的にもミクロ的にも層状となる. 急冷凝固のままでは微細であったA1-Fe化合物は押出材となる過程で粗大化し, 一部は押出方向に平行な棒状化合物となる. X線および電子線回析ではほとんどの化合物は準安定A1_6Fe相と同定された. 押出材の加熱により化合物は安定相A13Feへと変化し軟化するが, ジルコニウム添加合金では350°C以上の加熱で母相と整合なL12構造のA1_3Zr球状粒子の析出が起こり, 軟化を抑制することが明らかになり, 従来の加工材料よりも耐熱性が優れた材料の作製が可能となった. 3.高圧高温成形加工法により作製したSicウィスカー/アルミニウム合金複合材料は, ボイド等の欠陥がなく, またマトリックスとSicウィスカーとの堺面における結合状態も良好で非常に健全である. 体積率が多いSicウィスカー/ジュラルミン系高力アルミニウム合金複合材料では, 時効過程での焼入れ時の硬さが高く, 過時効で軟化するまでその値が維持される.
|