研究分担者 |
金子 彰一 東京ガス株式会社, エネルギー変換技術開発プロジェクトチーム, 課長
仁科 辰夫 東北大学, 工学部, 助手 (60172673)
板谷 謹悟 東北大学, 工学部, 助教授 (40125498)
KANEKO Shouichi Tokyo Gas Company,Energy Conversion Project Group
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研究概要 |
本研究は電池の要素材料であるアノード, カソード及びセパレート板の高性能材料の選択と設計, 特性及び耐腐食性評価を幅広く行い, 同時に高性能化のためにはいかなる材料をどう用いて多孔性電極構造体を作製するかを目的とした. これらの目的遂行のために以下のような項目の検討を重点的に行った. (1)水素酸化及び酸素還元反応の機構と, これらガス電極反応の速度に及ぼす電極材料の効果. 得られた研究成果の一つは, 両反応とも電極触媒作用は顕著でなく, いかなる電極材料を用いても電極反応速度は十分に高速であると言う結論である. これは材料選択に関して幅広い選択方針を与えている. (2)反応は高速であるから, 電極の高性能化は潜在的に可能であるが, 現行の電極がその要求を満たしていないことは明かである. 高性能化のためには, 構造体の合理的設計方針が求められねばならないが, これには高速ガス拡散性を確保するための二次構造とアグロメレート一次構造の組合せが重要である. これに関して, ラネーニッケルによる一次構造発現と二次構造体として発泡ニッケルを用いることを提案し, 両者を一体化させるための新しい手法として, 複合電着被覆法を用いた. 又, 電極のぬれをコントロールするための添加物質の共折効果も調べた. (3)ラネーニッケル複合体電極を小型の実セルに装着し, その評価を行い, 良好な結果の得られることを確認した. 現時点では, 基本的な設計方針の確認段階であるが, 今後の研究展開により高性能化実現の見通しを得た. (4)高性能化は材料の信頼性を得て実現する. この点に関して種々の金属材料の耐食性評価を電気化学的手法を用いて系統的に行った. メルト中の腐食現象を理解し, 防食技術を発展させるためのデータが蓄積しつつある.
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