研究分担者 |
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
小林 常利 理化学研究所, 研究員 (30109798)
丸山 敏朗 京都大学, 工学部, 助手 (40026282)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助手 (30093256)
田丸 良直 京都大学, 工学部, 助教授 (80026319)
|
研究概要 |
現在超電導現象を示す有機導電材料の種類は極めて限られており, また, 有機超電導体の分子設計のための明確な指針もないため, 有機(超)電導体の種類を豊富にし, 構造-機能関係を追求することが重要である. 本研究では, 1.3-ジチオールー2-イリデン骨格をビニローグ型構造にしたり, ラジアレン型構造にした新しい電子供与体を設計, 合成しそれらの電荷移動錯体やカチオンラジカル塩の導電特性を検討した. その結果, 前者ではTCNQとの錯体が良好な導電特性を示した. 特にビス(1.3-ジチアフルベニル)とTCNQの1:1錯体では, σ_<300°k>=16S/cmを示し, 抵抗の温度特性も金属特有のものであった. また, 後者(ラジアレン類)は混合原子価状態作成上極めて重要である. 例えば, 〔3〕ラジアレンは優れた合成金属のドナー成分として期待できる. 得られた諸成果は, 今後の電子供与体の設計に少なからぬ示唆を与え, 優れた有機導電材料開発に貢献しうるものと考えられる ドナー・アクセプターノルボルナジエンによる光エネルギーの貯蔵システムにおいては, 各種誘導体を大量に合成し, 貯蔵機能の総合的な評価を実験的に行なった. 今回検討した誘導体のなかでは, トリメチルジシアノ体が最も効率が高いと結論され, 実際日照条件下での光反応量は5mol・m^<-2>・day^<-1>に及び理論値6mol・m^<-2>・day^<-1>に近い値を示した. またエネルギー放出過程のための固定化触媒の開発では, 使用金属元素のスクリーニング, 反応機構, 固定化法等の基礎研究から開始し, 高活性で劣化連度の小さい優れた固定化触媒の開発に成功した. 触媒の評価方法は, 最も厳し評価手段である積分型反応器により, 大量に合成したトリメチルジシアノノルボルナジエンを用い, ベンチスケールで行ない, 本研究の目標を達成したことを確認した.
|