研究概要 |
ポリ(N-アセチルエチレンイミン)鎖を親水部とし, 疎水基として長鎖パーフルオロアルキル基(Aタイプ)あるいはポリ(N-:パーフルオロアルカノイルアルキレンイミン)鎖(Bタイプ)を持つ新しい非イオン性含フッ素高分子界面活性剤を新たに合成した. 従来の非イオン性親水基との組み合せでは水に対する溶解性の乏しい界面活性剤しかえられなかったが, 今回の界面活性剤は, 高い界面活性と優れた溶解性とをあわせ持つものである. 前者はパーフルオロアルキル基を側鎖に有する環状イミノエーテル塩を開始剤とした2-メチルー2-オキサゾリンの開環重合により, また後者はパーフルオロアルキル置換環状イミノエーテルと2-メチルー2-オキサゾリンとのブロック共重合によりそれぞれ容易に合成された. Bタイプの界面活性剤中の疎水部であるポリ(N-パーフルオロアルカノイルアルキレンイミン)は, 特にパーフルオロ基がC_3F_5の時に高い撥水性を示し, ポリマー中のフッ素含量が比較的少ないにもかかわらずPTFEよりも良好な撥水撥油性を示した. これら2種類の非イオン性界面活性剤はともに優れた界面活性をしめし, とりわけAタイプの活性剤は表面張力低下能に優れ, 臨海ミセル濃度における表面張力が14〜15dyn/cmと非常に低く, これはイオン性, 非イオン性界面活性剤を問わずこれまで最も優れた値の一つである. 一方, BタイプはAタイプよりも一段と低い臨界ミセル濃度を示した. さらに共重合体中のポリ(N-アセチルエチレンイミン)鎖の汎用樹脂に対する相溶性を応用してBタイプのブロック共重合体をポリ塩化ビニルにたいしてブレンドすることにより, ポリマーの撥油特性を大きく改良することに成功した. 同様な表面改質はブレンドによるのみばかりではなく共重合体をポリ塩化ビニルあるいはナイロン6上にコーティングし, 熱処理することによっても行うことができた.
|