研究分担者 |
大島 信行 日本植物防疫協会, 試験研究農場, 特別研究員
久保 進 日本たばこ産業株式会社, 中央研究所生物実験センター, 所長
奥田 誠一 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (90091941)
井上 忠男 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60081486)
山下 修一 東京大学, 農学部, 助教授 (60107406)
OSHIMA Nobuyuki Japan Plant Protection Association, Research Institute, Spec. Researcher,
土居 養二 東京大学, 農学部, 教授 (00011924)
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研究概要 |
本研究では(1)微生物および植物由来の抗ウイルス物質, (2)生長調節剤および抗菌物質の抗ウイルス性, (3)弱毒防衛ウイルス, の3項目について検討した. (1)(2)の物質の一部については分担者間で試料を交換して供試した. 成果の概要は以下以下のようである. 1)菌核病菌〔Sclerotiria sclerotiorum(Lib)De Bary〕(都丸)およびオシロイバナ(Mirabilis jalapaL)から感染阻止効果の高い物質が得られた. 前者は粘質多糖, 後者は塩基性たんぱく質(MAP)を有効成分とし, タバコモザイクウイルス(TMV)に対して, 本畑試験で高い効果を示した. MAPの効果はとくに高く(久保), その他の植物抽出物との比較でも効果は抜群であった(山下). 実用化の可能性が高い. キュウリモザイクウイルス(CMV)感染タバコ葉に生ずるウイルスの自己増殖抑制物質(AgX)を抽出し, 畑のトマト等に反復処理した結果, CMVに対して発病抑制効果が認められた. AgX産生葉にはCMV-RNA-3, 4のみの多量の集積がds-RNAの検出によって見出された(井上). 作用機構の理解の上から興味ある知見である. 2)2, 4-Dioxohexahydrotriazine(DHT)および殺菌剤ベノミル(Methyl2-benzimidazolcarbamate)はタバコおよびトマトでジャガイモXウイルスで最も効果がすぐれ, TMV, ジャガイモYウイルスに対しても発病を遅らせ, ウイルス増殖の抑制も認められた(大島). DHTは茎頂培養への加用によって, ウイルスフリー株を得やすくする効果が実証された(都丸). この面の実用化が可能と思われる. 3)弱毒防衛ウイルス感染トマト葉細胞ではウイルス粒子数, 分布および細胞障害が弱毒系に較べて少いことが電顕観察から明らかとなった(山下). CMV感染葉汁液の紫外線照射によって弱毒ウイルス株が得られ, またキク微斑ウイルスから病微軽減作用を示すRNA-5が見出された. 本ウイルスからのサテライトRNAは初めての発見である(奥田). 防除への利用が考えられる.
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