研究概要 |
蛋白質生産菌バチルス ブレビスは, 蛋白質を高効率出大量に分泌生産する細菌として見出され, 培養液中に大量に蓄積する蛋白質は本菌の細胞表層蛋白質に由来することが判明した. この表層蛋白質遺伝子の有する高効率発現・分泌能を支配しているDNA領域をベクター・プラスミドにのせ, その下流に有用蛋白質の遺伝子を連結して分泌生産を行った. 1.ヒト・インターロイキン2(IL2)の生産. クローン化されていたIL2遺伝子を切り出し, バチルス ブレビスにおける高発現・分泌ベクターであるbNU200へ挿入した. pNU200はバチルス ブレビスの主要菌体外蛋白質(細胞表層蛋白質と同じ)遺伝子のプロモーター, SD配列, シグナル配列等の領域を有するので, そのシグナルペプチド切断部位の下流にIL2遺伝子を直結した. このプラスミドをバチルス ブレビス47菌へ導入した結果, 1〜2mg/lのIL2が菌体外に生産されたが, 培養時間を延長するとIL2の分解が認められた. そこで同プラスミドを用いて, 菌体外にプロテアーゼ活性が検出されないバチルス ブレビスHPD31株の形質転換を行った. IL2に対するモノクローン抗体を用いる分析により, 転換株中から安定にIL2を生産する菌株を得た. 培養条件を詳細に検討することによって, HPD31株を宿主として約20〜30mg/lのIL2の蓄積が得られ分解が認められなかった. 2.細菌β-アミラーゼの生産. バチルス ポリミキサ菌のβ-アミラーゼ遺伝子を〓NU200の高発現領域, シグナル配列の下流に連結した. このプラスミドをバチルス ブレビス47菌へ導入した後, 種々の培養条件を検討した結果約0.5g/lのβアミラーゼの大量蓄積が得られた. 本遺伝子の下流領域を欠失させても活性のあるβアミラーゼが得られ, 活性発現に必要な領域を明らかにした.
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